記者会見の開催は、広報担当にとっては非常に重要な仕事となります。
記者会見の内容として多いのは、新商品・新サービス、また、新たな経営方針、役員人事の発表などでしょうか。
記者会見をうまく開くことができないと、世間に対してのイメージが悪くなります。逆に記者会見の印象が良ければ、その企業に対しての印象も良くなります。
それだけに、広報担当者としてはかなりプレッシャーのかかる仕事となりますね
記者会見を開くには、準備から開催まで考えなくてはいけない工程数が多くあります。また、企業が起こした不祥事に対する謝罪会見のような場合には、ちょっとしたミスが取り返しのつかない事態を招くことも考えられます。
この記事では、記者会見を実施し成功させるまでに必要な項目を時系列ごとに紹介したいと思います。
1開催日時の決定
開催日時の決定にあたっては余裕をもって設定するようにしましょう。 日時を決める際には、メディアの記者が集まりやすい時間に行う方がいいです。午前11時頃か、午後1時あたりがよいと思います。また曜日に関しては、週の初めの方がいいでしょう。
しかし、不祥事、トラブルなどに対する会見の場合には、早急に会見を開く必要があるため、開催日時に余裕を持たすことができません。 このような会見の準備の時には、現場と広報担当、そして役員の間での情報交換が錯綜することが多く、会見に大きなミスが発生することが多々あります。会見に向けて走りながら情報を整理し、考え、準備していくことになりますので、十分な注意が必要です。
2メディアリストの作成
記者会見に招致したいメディアのリストを作成します。
普段からニュースリリース等を送付している企業であれば、保有しているメディアリストの中から会見に招致したいメディアをピックアップしましょう。また、メディアリストを所有していない企業であれば、PR会社等に依頼し、メディアをピックアップします。
3開催会場の下見と決定
開催日時が決まったら記者会見を行う場所を決めます。
社内に広いスペースがあり、そこで開催できる場合には問題ありませんが、そういったスペースがない場合は、「ホテルの宴会場」、「貸し会議室」「レンタルスペース」などを借りることになります。
会場の候補を探す場合には重要なことがあります。
会場の場所
駅から遠い場所や分かりにくい場所を避けるようにしましょう。また駅から近くてわかりやすければどこでもいいのかというわけではありませんそれぞれの街やそれぞれの駅や街が持っている雰囲気またイメージなども重要となってきますのでそれも考慮しておきましょう。
会見に使う備品・機材が用意されているか
会見当日に使う備品や機材などが揃っているか確認します。例えば、プロジェクター、演台マイク、ホワイトボードなどです。これらの備品・機材が備え付けられていない会場を予約してしまうと、会社からそれらを持って行く羽目になってしまいますので、なるべく会見に使う備品・機材が備え付けられている会場を選ぶようにしたほうが懸命です。
会場の候補がいくつか決まったら、実際にその会場に足を運んで、必ず自分の目で確認するようにします。その会場のホームページに掲載されている写真だけを見て決めるのは危険です。
会場の雰囲気・清潔感・広さを確認する
必ず実際にその会場に行って、会場の「雰囲気」「清潔感」「広さ」を確認しておきます。
写真では雰囲気が良く、綺麗に見えたとしても、実際に見に行くと暗い感じがしたり、汚れていて不潔感が漂っていたりする会場もあります。
また、ホームページに100名収容できると書いてあったとしても、実際に行ってみると「本当に100人も入れるのか?」と感じることもよくあります。会場によっては、無理やり詰め込んだ場合の収容可能人数をホームページに記載していることがあります。当然ながら、スペースに余裕がないような状態では、よい記者会見を開くことはできません。スペースには余裕を持たせるようにしましょう。例えば記者会見に50名参加するとしたら、収容キャパとしては70から80名ぐらいの会場を予約した方がいいと思います。
こういったことを確認するためには会場の下見が必須となってきます。会場の下見を怠ると、後で後悔することになりかねませんので、くどいようですが必ず見に行くようにしましょう。
4会見会場の導線の設定とレイアウト図の作成
会見会場の予約を完了したら、次に行うことは、その会場の形、レイアウトに合わせて記者会見の業務を行う会社のスタッフ、記者等の入場時、退場時の動線を考え、会場全体のレイアウト図を作成します具体的には次のような次の図のようなイメージとなります。
5会見実施に必要な各タスクの洗い出しとその担当者の決定
記者会見を実施するために必要なタスクを洗い出し、そのタスクを実行する担当者を決定します。一般的に記者会見に必要なタスクには次のようなものがあります。
- 記者会見全体の進行の管理を行う者(広報部門の部長クラス)
- 司会者(社内に適当な人材がいればその人でもいいですしもしそういった人材がいなければプロの司会者に依頼する)
- 記者会見場の機材・備品の準備
- スピーカー(基本的には代表取締役が行います)
- スピーカーの補助者(記者会見に関連する部門の担当役員または部長)
- 記者会見における記者からの質問を想定し、想定問答集を作成した者。記者から受ける様々な質問に即座に答えられる担当者
- 受付者(記者会見場の入り口で受付をする者。記者会見に出席する人から名刺を受け取り、出席者リストと付け合わせをする。)
- アテンド(受付から会場へ出席者を誘導する。会場誘導係 会場内で記者を席に誘導する。カメラマンを撮影場所に誘導する。資料を配布する。
- 記録係(録音・撮影など記者会見の様子を記録する。)
6記者会見の進行スケジュールの作成
記者会見当日の準備から終わりまでの進行スケジュールを考えます。スケジュールを組むときは余裕を持って組むようにします。タイトなスケジュールにしてしまうと、トラブルがあった時に対応できなくなってしまいます。
7スピーカーの台本の作成
司会者そしてスピーカーが記者の前で話す台本を作成します。この台本は入念に作成しましょう。特にスピーカーが話す内容によって記者の印象や、その会見はテレビなどで見ている人の印象を左右してしまいます。非常に重要な仕事となります。
8想定問答集の作成
記者会見当日、記者から受ける質問を想定し、それに対する回答集を作成します。想定問答集を作る際には、自分が記者になったつもりで、様々な角度から質問を考えましょう。
できれば、質問は担当者一人が考えるのではなく、なるべく多くの人間を巻き込んで考えてもらうようにします。ある一人の人が考えてしまうと、どうしても偏った質問になりがちです。それを防ぐためにも、他の部門の人にも依頼するなど工夫し、なるべく環境の違う、多くの人から質問を集めるようにします。また回答に関しては、役員、社長などに了承を得るということは言うまでもありません。
9メディア会開催案内の送付及び連絡
記者会見に招致したいメディアに対して案内状を送付します。また、場合によっては電話連絡、メールなどで連絡を取ります。
10記者会見の実施
ここまで準備をしてきたら後は会見を実施するだけです。当日はどうしてもバタバタしてしまいます。そのため、よくあるミスとして、持って行く必要のある備品の一部を忘れてしまうということです。そのため、予め持っていく備品のチェックリストを作成し、それに基づいて準備して会見の前日の日に、一箇所にまとめて置いておきましょう。
以上、記者会見の開催の仕方を簡単にご説明してきました。
ここに記載したのは、あくまで記者会見の開催の手順とその各項目について簡単に説明しただけですので、この記事を読んでも、記者会見を完璧に開けるわけではありません。
会見を行うには、他にも注意すべき点がたくさんあります。例えば会見が終わった後、会場から退場しようとするスピーカーに対して記者が質問してくることがあります。
スピーカーは、会見が終わったことによって緊張がほぐれていますから、記者に対してポロッと本音を言ってしまうことがあります。それが後々大問題に発展することもよくあることです。
また、会見で発表席に座る人の服装・表情・話し方なども注意が必要です。
会見の出来栄えによって、自社のイメージが良くもなり、悪くもなります。場合によっては取り返しのつかない事態に発展することもあるため、自社に会見を行うノウハウの蓄積がないのであればPR会社に依頼する方が無難だと感じます。
以上で「記者会見の開き方」についての記事は終わりです。
ありがとうございました。