企業のリスクマネジメントの柱!危機管理広報とは?

企業のリスクマネジメントの柱!危機管理広報とは?

この記事は、危機管理広報についてのお話しです。

「危機管理広報」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

危機管理広報を簡単に説明すると、企業に思いもよらないトラブルが発生したときのステークホルダーやメディアへの広報対応のことです。

危機管理広報業務はPR会社の仕事の一つとなっています。PR 会社全てが行なっているわけではありませんが 、従業員によるSNSへの不正な投稿の増加や、コンプライアンス遵守の機運の高まりにより、ここ数年、重要な仕事になりました。

私もPR会社に入ったことによって、この業務を経験することになりました。そして、この仕事を経験すればするほど、危機管理広報の重要性を痛感すると同時に、危機管理広報を甘く見て、真剣に取り組んでいない企業の多さにビックリしましたね。

いや~、甘いというか「大丈夫ですか?」って言いたくなる会社が本当に多いんですよ!!

世間で起こる企業の不祥事やトラブルなどを、ニュースで見て、役員、幹部の人達は「そのうちやらないとな」「まぁうちの会社は関係ないだろう」といった意識があると思います。明確にあるわけではないのですけど、潜在的にはそのような意識を持っているのだと思います。なので、実際に時間とお金をかけて取り組もうという気持ちにならないのでしょうね。

しかし、トラブルというものはいつどのような形で襲いかかってくるか誰にもわかりません。また会社を経営していればトラブルはいつか必ず起こります。備えあれば憂いなしです平常時のうちに万全な準備を整えておくことが絶対に必要です。

では、具体的な危機管理広報の行い方について書いていきますね。

危機管理広報を行う上での準備

当たり前ですが、準備がなくては会社に思いもよらぬトラブルが起こった場合、迅速に対応することができません。

その対応の遅れが、メディアやSNSなどに大きく広がることによって、企業は大きなダメージを受けることになります。場合によっては、企業の存続自体ができなくなることもあり得ます。そのためには、十分な準備が必要となりますね。では、どのような準備をしておけばいいのでしょうか?次にご説明をしますね。

経営陣への連絡体制

実際にトラブルが起こったことを最初に感知した部署から経営陣への連絡体制をどのように上げていくのかということに決めておきます。

このことが決まっていないと、トップまでスムーズに情報が伝わりませんから、トップがトラブルについて知るまでタイムラグが生じます。後の記者会見などで記者から「社長はいつそのことを知ったのですか?」と聞かれた際に、そのタイムラグに関して突っ込まれることにもなりかねません。

このタイムラグが長ければ長いほど記者が抱く印象は悪くなります。また、そのことが報道発表されれば世間からの印象も悪くなります。タイムラグはなるべくなくすように短い方がいいのです

緊急連絡網の構築

トラブルはいつ起こるかわかりません。真夜中に起こる可能性もあります。どんな時間帯に起きても確実に連絡が取れるような社内の緊急連絡網を構築しておきましょう。また、連絡網に使うツールは一つだけでなく、二つ用意しておく方がいいです。もし、一つのツールが使えなくなったときの予備です。

緊急対策本部

軽微なトラブルであれば一つの部署がそれに対応してもいいと思います。しかし、大きなトラブルになってくると、会社の命運に関わることも出てきます。そういった大きなトラブルに対応するためには、やはり緊急対策本部のような機関が必要になってきます。

緊急対策本部は、通常、トップに代表取締役を置き、その下に役員、各担当部長などが配置されていくことになります。トラブルが起こってから緊急対策本部のようなものを立ち上げようとしてもとても間に合いませんので、 平常時に緊急対策本部の組織図というものを考え構築しておくことが重要です。

会社の方針

どのようなトラブルが起こり得るのかを想定し、それぞれのトラブルに対応する際の会社の方針を予め決めておきます。

例えば、食品を製造している会社であれば、自社の製品によって食中毒が起きたとします。食中毒を起こした人の症状も多様です。吐き気、下痢程度なのか、または入院して治療を受ける必要があるのか、はたまた不幸にも亡くなってしまったのか。それぞれのフェーズに応じ、会社はどの程度の補償を行うのかを決めておく必要があります。

実際にトラブルが起こったら

では、実際にトラブルが起こったらどのように行動をすればいいのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

情報の収集

とにかく情報を集めます。少ない情報では的確な判断はできません。また、メディアに対しても情報を発信することができません。集める情報はその正確性に留意します。とは言っても、実際に事が起きると、あたふたした状況下で情報の正確性を確認することはなかなか難しいでしょう。しかし、間違えた情報を元に報道発表をしてしまうと後で大変なことになります。

ステークホルダーの洗い出し

ステークホルダー(Stakeholder)とは利害関係者のことですね。英語の出資金(Stake)と保有者(Holder)を由来としているそうですよ。企業にとっての利害関係者は実に広範囲に渡ります。パッと思いつくものを書き出してみました。

顧客、株主、取引先、従業員(正社員、契約社員、アルバイト、パート)取引のある金融機関、本社や工場のある地域社会。

実際にトラブルが起こってからステークホルダーを洗い出していたのでは間に合いませんので、普段からリストアップしておきましょう。

マスコミ対応の準備

トラブルが起きたことを知ったマスコミなどから問い合わせの電話が入ることがあります。その電話に対してどのように対応するのかを決めておかなくてはいけません。電話に出る人によってそれぞれ違うような対応をしていたのでは大混乱になってしまいます。

社内への周知

トラブルが起こっていることを社内へ周知します。このとき、トラブルの内容、対外的な発言などについても支持することが必要です。

トラブルを起こした会社の社員が出社途中で記者にインタビューを受けているニュース番組を見たことがあると思いますが社内への周知が徹底されていないとこういったところからほころびが出てしまいます。

報道の確認

テレビ、新聞などでトラブルがどのように報道されているのかチェックします。もし、事実と違うようなことがあれば訂正してもらうようにします。

SNSの確認

企業が起こしたトラブルはニュース番組よりも早くSNSで拡散されることも多くあります。というか、今のニュース番組を観ていると、SNSで拡散されている写真や動画を利用している番組を多く見かけますよね。

SNSでは事実に基づかないことも流れてしまうことが多くあります。また、一度、各sンされると収集ができないので、思わぬ被害を被ることもあります。早めの対応を取らないと取り返しのつかないことになることもあるので、普段からSNSへの対応マニュアルを作成しておいた方がいいでしょう。

記者会見の準備

状況によっては記者会見を開いた方がいい場合があります。公の場所でトラブルについて真摯に説明することで企業への印象低下を防ぐことができるのです。しかし、諸刃の剣で会見の印象が悪ければ火に油を注ぐ羽目になることもあります。

記者会見は突然やっても上手く運ぶことはまずありません。また、その準備から運営までのノウハウを持っている会社はあまりないので、まずはコンサルタントを雇い、1年に1回は模擬記者会見を練習しておくことをお勧めします。

最後に

冒頭にも書きましたが、危機管理広報ってすごく重要なのにちゃんと取り組んでいる会社はすごく少ないんです。これって、「首都直下型地震」が起きる可能性はすごく高いので普段から準備しておきましょうと東京の広報で言われても準備している人が少ないのと同じです。

実際にことが起きてから「危機管理広報ちゃんとやっておくんだった」と後悔するんですよね。